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2021-11-26 18:35:00
85歳女性店主の腰
先日、ヒューマングルメンタリーオモウマい店 焼き鳥店の85歳女性店主の番組を観ました。
新潟の繁盛店です。85歳女性店主の動作分析をついついしてしまいました。
鶏肉が詰まった重い箱を小柄な85歳女性店主の方は軽々と持ち上げていました。
私が注目したのはその腰の使い方です。腰の曲げ伸ばしで持ち上げるのではなく、
しなやかな竹のように、脊柱全体の均等な屈伸運動で箱を持ち上げていました。
上体の胸椎(胸の背骨)や胸郭(肋骨)が固いと、こうはできません。勢い、腰の屈伸で物を持ち上げることとなります。
そうなると腰椎のL4、L5に過度な負担が掛かり、腰を痛めてしまいます。
腰痛の予防・改善には胸椎、胸郭のしなやかな可動性が不可欠なのです。これらが固いまま腰を柔らかくすると柔らかい腰に更に負担が集中します。
胸椎、胸郭の可動性改善の方法でしたら、毎年2回、春と秋に、私が中心になり、東京都市部の保健師や訪問看護師、理学療法士など50人程度、講堂に集めて実技指導していました。
健常人でも50人も集まれば、1人や2人は胸郭がとても固い人がいることが多々ありました。実技指導により、受講生の固い胸郭は動きを取り戻すことができます。
結果を出す実技指導が受講生に好評でした。毎年恒例の呼吸訓練の講義でしたが、この手技が腰痛に対して、まさに応用できます。腰痛予防・改善には上体と股関節の可動域改善が不可欠です。
2021-11-08 11:50:00
腰を柔らかくしてもらって気持ち良かったが・・・結果、腰痛が悪化
第29回日本腰痛学会に参加しての続きです。三屋裕子氏講演の「腰部の可動性改善は腰痛を悪化させる。」は
実に明快な見解です。そうではないだろうかと兼ねがね思っていましたが、はっきり断言されると目が覚める思いです。
胸椎(背骨の胸の部分)・胸郭(肋骨)と股関節の可動性改善が重要とのこと。下肢の可動性改善に関しては重点をおいてきましたが、
可動性の悪い胸椎を動かそうと大きな力を加えると胸椎や肋骨の骨折などのリスクがあります。
屈強なアスリート向き手法ではなく、一般人に対して安全に胸椎の可動性改善ができないか、学会の後、思案していました。
可能でした、安全な胸椎の可動性改善が。そして、これには思わぬ副産物がありました。肩の動きや肩凝りの改善を確認しました。上半身の動きが楽になります。
しかし、この手技は手間と時間を要します。もう少し手早くできないか検討を重ねています。
前屈みに抵抗がある方のほとんどは胸椎の可動性が低いです。結果、腰部に負担が掛かり腰痛を招いていました。
これが改善できるとなれば大きな進歩です。
第29回日本腰痛学会のテーマは「新時代の先導」でした。
2021-10-26 12:05:00
第29回日本腰痛学会に参加して
10月22日・23日の両日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催された第29回日本腰痛学会に参加しました。
2021年はオリンピックイヤーです。これを記念した東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問であるバレーボールメダリストの三屋裕子氏の招待講演が印象的でした。
昔と違って、現在はオリンピック強化選手に対して、シットアップ(腹筋強化)を実施していない。腹筋の高緊張はパーフォーマンスの低下になるとのこと。
また、腰椎だけの可動性拡大の運動も実施させない。胸椎や下肢など腰椎周辺の可動性拡大が腰痛対策として重要との講演内容でした。
腰痛患者さんに腹筋や背筋の筋力強化を勧め、運動で腰椎の可動性拡大を求めている整形外科医の先生方に、講演内容がどこまで理解してもらえたのか分かりませんが、私も全く同意見です。
従来のアスリートのトレーニングには筋力強化主体の単調なものが多く、私はあまり良い印象を持っていませんでした。
三屋氏が語られた現在日本のトップアスリートの強化プログラムは素晴らしいものがあります。
しかしながら、私ならば、腹筋の筋力強化をしないに止まらず、ダメージを受けた腹筋の癒着をとるもっと積極的な対策を取ります。
また、腰椎だけの可動性改善運動は、三屋氏が指摘されたように、確かに腰痛に対して逆効果となる可能性があります。これもたいへん重要な内容です。
そして、腹横筋の活性化(筋力強化ではない)が腰痛改善に重要との見解を述べられていた先生もいました。
車いすテニスの金メダリスト国枝慎吾選手が、この先生の指導により活躍されたとのお話でした。
腹部は腰痛に大きく関わっています。このことは、もはや私個人の持論ではないようです。
2021-10-19 09:40:00
歩行分析の意義
当院は都内で唯一、詳細な歩行分析により施術を実施する腰痛専門の整体をうたっています。
都内唯一としたのは、全国を隈なく調査することが困難であり、誇大広告にならないよう配慮したからです。
2台のビデオカメラで詳細に歩行分析する腰痛専門の整体は、全国でもおそらく当院だけです。
歩行分析から様々なことが解ります。
骨盤や股関節・膝関節・足関節の可動性、筋緊張、癒着筋の有無・程度など様々な病態が読み取れます。
クリニックなどでの簡単な歩行分析は、足を引きずっていないか、姿勢は悪くないか、など大雑把な奇異歩行の有無で行われています。
パーキンソン病などの特徴的歩行から診断名の推測はできても、筋肉や関節の病態、痛みの原因までをこれで解析することはできません。
歩行時の頚部・肩・体幹・骨盤・股関節・膝・足関節の動きを人の目で、同時かつ瞬時に個別に解析することは確かに至難の業です。
最近は歩行分析装置という機器があります。
しかし、この歩行分析装置は研究用であり、広いスペースを必要とし、設定に時間が掛かるため、日常診察の場では利用されていません。
医学部の授業に歩行分析の講義はないようです。理学療法にも座学はあっても実践的なものはありません。そのため、詳細な歩行分析ができない専門家がほとんどです。
私が歩行分析を本格的に始めたのは38年前の学生だった時です。イギリス発祥のボバース法の指導を実習地で受けました。ボバース法は動作分析・歩行分析の評価を重視しています。
最初は全く詳細な歩行分析ができなかったのですが、毎日歩行分析の指導を受けていて、骨盤の最適な回旋のタイミングが理解できるようになりました。
当時の実習指導の先生方には感謝しかありません。その後取得したボバースの国際ライセンスは職場に掲示してあります。
初回の施術時に、施術の前後で2台のビデオカメラを用いて歩行をビデオ撮影し、ご本人様にこれを見ていただき変化を確認していただいています。
腰痛は歩行に大きな影響を与えています。初回の施術で、腰痛が改善するだけではなく、歩行も変わります。歩幅や前傾角度など数値を示すことも可能なのですが、なによりも見た目の印象が若返ります。
歩く姿勢が10歳若返りましたと喜ばれています。足を高く挙げるとか、背筋を伸ばすとかの歩行の指導は一切行っていません。
若い経験の浅い専門家?に多いのですが、歩行の動作を一つ一つ口頭で指導する理学療法士がいます。
意識的な歩行姿勢の改善は無理です。歩行は無意識的に行われる行為であり、無理に矯正しようとすると体の一部に無理がかかり痛みを生じることもあります。
口頭で歩行を指導するのではなく、正常歩行が可能な身体に改善することが、専門家本来の使命です。